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ハラスメントの境界線。




ハラスメント研修を担当するたびに難しいなと思うのは、ともすれば「これはやってはいけない」研修になってしまうことです。


「このケースはだめ。」

「こういう接し方はだめ。」

「こんな風に接してはだめ。」


それは本質的な問題解決にはならないと思うのです。


「だめ」=「何もしない」ということになり、それは仕事における人間関係の放棄です。


組織である以上、人と人の関わり合いの太さが即ち組織の強さに直結します。


ですから、「何もしない」は組織であることの放棄なのです。


だからこそハラスメント研修であっても「やってはいけないこと」ではなく「やるべきこと」にフォーカスすべきだと考えています。


ただ、人というものは、それぞれ価値観も違えば、経験や知識にも差があります。当然、それを一つの目標に向けることは、簡単なものではありません。


したがって、知識や経験が上の上司は、どうしても「合意形成」よりも「服従」を部下に要求してしまいます。その方が「速い」からです。


ここがハラスメントの境界線です。


一方、部下の方も「考える」より「服従」の方が「楽」という側面があるのも否めません。


お互いに「合意形成」を放棄した先にあるのは、壊滅的な人間関係の崩壊です。


これが不幸なハラスメントが起こるメカニズムです。(恣意的な個人攻撃や、セクシャルなハラスメントは当てはまりません)


だから。


ハラスメント研修は即ち「合意形成」の研修でなければいけないとワタシは考えています。


それも上司と部下が一緒に取り組んだ方が効果が高いといえます。


働き方改革が進み、「働く人の権利と自由」が重きをなすと、ハラスメントの問題はますます組織にとっての重要な課題になっていくと思います。


「やらない」ではなく「やるべきこと」


まだまだ奥深い考察がハラスメントの問題には必要ですね。






 Akihito manabe profiel: 

 

研修講師、演出家、脚本家、小説家、作詞家

1968年生まれ

大学卒業後、大日本印刷、吉本興業を経て独立。

「演出」にフォーカスしたコミュニケーションプログラム「アクトレーニング」を開発。教育機関、企業などで幅広く講師活動を行う。

​一方、独特の感性でエンタテイメントビジネスでもハイブリッドエンタテインメント「魔界」の総合プロデュースなどを行う。

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